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自費出版のお役立ち情報 第1号(創刊号)
初めまして! 「自費出版のお役立ち情報」第1号(創刊号)をお届けいたします
このメールマガジンは、これから自費出版をしてみようと思っている方へ、多くの自費出版物を
手がけているプロの立場から、悔いのない自費出版をしていただくための情報を、いろいろな 形で提供する媒体です。すでに自費出版をされた方にも参考となる内容だと思います。どう ぞ、ご期待ください。
☆ ☆ ☆
はじめに : 本を作る楽しみ
本を作ることは、楽しみと感動の連続です。
原稿を書く楽しみ、本のデザインやレイアウトを考える楽しみ、校正紙の段階で活字となった自
分の文章を見る感動、出来上がった本を手に取る瞬間の万感胸に迫る思い、それを人に手 渡す時の心の震え、読者から届く感想を見る楽しみ……どれをとっても、本を作るということ は、作る人に楽しみと感動を与えます。
今日、パソコンの普及で、誰もが簡単に本作りを楽しめる時代になりました。しかし、良質な本
を作るためには、専門的な技術を必要とします。人に見せても恥じないためのプロの校閲、内 容を伝えるための高度な編集技術、後世まで残すためのレベルの高い印刷技術、それらはど うしても、自分以外の誰かの力を借りなければなりません。
そこで、これから自費出版をされる方は、個人で本作りの基本的な知識をある程度事前に吸
収しておいて、出版社や印刷所の担当者とは共同作業をしながら本作りをする、そういう意識 を持って本作りに取り組んでいただきたいと思います。出版社に相談を持ちかける時は、いっ しょに本作りをする「ベストパートナーを見つける」という意識で声をかけてみてください。
ところが! 現実には、自費出版で出版社や印刷所に相談を持ちかけられる方の多くが、ま
ず最初にぶしつけに質問されるのが、「いくらかかりますか?」です。
私も、これまでたくさんの相談を受け、まず一番に質問されるのがそのことでした。しかし、条
件(体裁や冊数)が分からなければ、何も答えられないのが事実です。また、その質問は、悪 徳業者にとっては相手の足元を見るのに絶好の質問なのです。出版について何も知らない素 人として、良いカモにされるおそれがあります。
相談した相手がベストパートナーとなり、良心的な見積もりを得るための相談の持ちかけ方と
言うものがあります。それを伝授したいと思いますが、今回は慌てず急がず、まず出版にかか る費用についての概要の説明から始めます。
自費出版で注意すること−1
費用について(1)
出版にかかる費用は、基本として原稿校閲費、編集費、デザインおよび装丁費、印刷・製本費
があげられます。
それ以外にも手書き原稿の場合の原稿のデータ化処理費、他人のイラストや写真などを使う
場合の著作権使用料もしくは新たに作ってもらう場合の制作費、出来上がった本の書籍管理 費(運送費なども含まれる場合があります)、マスコミなどに広告を打つ場合の宣伝広告費など があげられます。
まず実際に本を作ろうとする場合、後々後悔しないためには何社かの出版社に見積もりを依
頼することです(「相見積もりをとる」と言います)。
印刷費ひとつをとってみても、出版社によってバラバラであり特に標準はありません。よっ
て、数社に見積もりを依頼しても相当な差が出てくるものです。決め手は、出版社の担当者と の相性です。これからいっしょに本を作っていくわけですから、とても大事なことです。
一番安いところは、安いなりに何か理由があるわけで、また、あまりに高い見積もりのところも
警戒を要します。安い理由は、編集や校閲で手を抜こうとしていたり、印刷・製本が粗雑であっ たり、後からいろいろ費用を上乗せしてきたり、いろいろあります。また、あまりに高い場合は、 出版や印刷について何も知らない素人と見透かされ、業者に足下を見られて高い値を付けら れていると判断して良いでしょう。
出版編集は、著者と編集者との共同作業です。よって、近くに出版社があれば良いのですが、
無い場合も郵便と電話で編集者と応対が出来る出版社を探すべきです。何回も言いますが、 まず何社かに声をかけて、見積もりをとることから始めましょう。ただ、もし声をかけた出版社 が毎日のように電話やメールを送りつけて来るようでしたら、仕事をとる営業色の強い会社な ので編集力に疑問があります。はっきりとお断りの連絡をされる方が無難だと思います〔もし、 そのような目に遭われたらぜひご一報ください〕。
自費出版で注意すること−2
共同出版について
出版の形態にはその費用をどちらが負担するかで、出版社が費用の全額を負担する商業出
版(別名:企画出版)と、著者が費用の全額または一部を負担する自費出版の二つの形態が あります。
最近、幾つかの出版社が、著者と出版社が半分ずつ費用を出し合って出版する形態を共同出
版(あるいは協力出版)と呼んでいます。しかし、著者が本の制作費をいくらかでも負担する場 合は自費出版であり、共同出版も自費出版の一つの形態であると言えます。
自費出版である以上、負担した制作費分の冊数を著者は所有でき、出版社が負担した分の
冊数には印税が発生します。書店で販売されて売れた冊数の印税が後日、著者に換金されま すので魅力的ではありますが、なかなか出版社が努力するほどには売れていないのが現状で す。出版社も、自己負担した分を書店の売り上げで還元しなければならないわけですから大変 です。ある程度売れると見越して共同出版するわけですが、本の売れない時代にこの形態が どのように発展するのか、今は進化の途中と言えるでしょう。
ところで、最近は、共同出版を扱う善良な出版社が増えてきたようですが、かつては、制作費
の半分を出版社が肩代わりすると言って、まるまる一冊分の本が制作できる金額を著者に請 求したり、出来上がった本を見本として2,3冊渡すだけで、出資した費用分の冊数の所有を 認めてくれなかったりと、悪質なケースがあったようです。共同出版を希望される方は、いまで は結構多くの出版社が取り組んでいるようなので、複数の出版社から見積もりと条件提示を取 り寄せて、見比べて判断されるのが賢明だと思います。
なお、その共同出版の見積もりには、本が出来てからの書店流通費や、新聞や雑誌などへの
広告費、出版社の営業マンの経費なども、著者半分負担として盛り込まれている場合もありま すので、よく注意して見てください。それらの条件を納得するか否かは、著者のご判断によりま す。
第1号 了
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