「自費出版のお役立ち情報」第3号

自費出版のお役立ち情報 第3号

「自費出版のお役立ち情報」第3号をお届けいたします。

自費出版で注意すること−6
出版社と印刷会社の違い

最近は本当に自費出版のブームなのか、多くの皆様より自費出版のご相談を受けます。その
中で、初めて本を出版される方がよく勘違いされていることとして、出版社と印刷会社がまった
く同じ業種だと思っておられることが挙げられます。若い頃から出版社に勤めていると、出版社
と印刷会社が全く違う業態であることは当然のことと思っていたのですが、どうやら井蛙の見で
した。
まず、印刷会社というのは、印刷のための大きな機材を抱え工場として受注した作品を仕上げ
るところです。その工程も、紙に印刷する本当の「印刷」の工程と、それを本の形にする「製本」
の工程に大きく分かれます。その「製本」だけを請け負う製本会社という業態もあります。
一方、出版社というのは、印刷に取りかかる前に原稿を著者から預かり、校閲や編集をして作
品のレベルを高め、印刷後は本を流通にのせて販売を担うところです。自社の中に印刷機の
ような大きな機材はありません。
自費出版される方が原稿を持ち込む場合を想定して、単純に比較して説明させていただきま
す。
印刷会社へ持ち込まれますと、原稿は一定のページレイアウトの中に組み込まれ、原稿に書
かれているとおりに本として出来上がってきます。対して出版社へ持ち込まれますと、原稿は
校閲の手によりチェックされ、編集者から間違いや書き直しを指摘されます。その後、著者と
印刷会社の間に入り、最後は著者に代わって印刷会社との仕上がりに対する交渉の責任を
負ってくれます。
以上で分かるように、出版社へ本の制作を発注する場合は、印刷会社へ発注するよりも作業
工程が増える分、制作費は高くなります。しかし、内容の充実した本が出来上がってきます。ま
た、本が出来上がった後のことを見てみると、印刷会社に発注された場合は、書店に流すル
ートがありませんのですべて著者のところへ届けられます。一方、出版社の場合は書店に流す
ルートを持っていますので、その一部を書店で販売することも可能です。
以上が大きな違いですが、最近は印刷会社でも自費出版の需要の高まりの中で、社内に編集
者を抱えレベルアップしているところも出てきています。その分、制作費は出版社並みに高くな
っています。

自費出版で注意すること−7
出版社・印刷会社以外の出版相談窓口

良い本を作るための出版社の必要性を分かっていただけたと思いますが、それでも自分で完
成度の高い本を作る自信のある方は、くれぐれも前号の「推敲」のところを読んでいただいて
から自費出版してください。
ところで、最近では自費出版のブームとともに、自費出版の相談窓口が増えています。
まず、書店が挙げられます。丸善や紀伊國屋書店などはブーム以前のはるか昔から自費出
版サービスを行っています。形態としては出版社と同じといって良いでしょう。書店とは別組織
(子会社化など)なので編集者も存在すれば、書店での販売ルートも持っています。ジュンク堂
書店も池袋本店でオンデマンド出版を始めましたし、三省堂書店なども自費出版の相談を受
け付けています。このような大型書店だけでなく、地域に根ざした中規模の書店が、地域に密
着した形で自費出版の相談を受け付けているところもあるようです。
次に新聞社。読売新聞や朝日新聞などの大手新聞社から地方の新聞社まで、今では新聞社
も自費出版を手がけています。生涯学習のカルチャースクールを開催し、それと連動して本作
りを勧める展開をしているところもあります。ただ、新聞社としてオリジナル性はあまりないよう
で、その紙面上に無料広告を載せてもらえるという甘い考えは許されないようです。書店と同じ
ように別組織にしているところがほとんどです。
出版業界には、編集プロダクションという形態があります。編集プロダクションとは、カタログや
パンフレットなどの制作を請負う会社です。書店で販売されている本や雑誌などを、出版社か
ら請け負って制作しているところもあります。どちらかと言うとビジュアル系の制作物を得意とし
ていますので、写真集などには高い技術で取り組みます。よって、編集プロダクションも自費出
版の相談窓口になり得ます。ただ、書店への流通ルートを自社では持っていないので、その場
合提携先の出版社に発売元となってもらって出版することになります。その分費用は割高にな
ります。
このように、今日では多種多様な自費出版相談窓口があります。自費出版を考えておられる
方は、ぜひ身近なところで相談窓口を見つけ、いっしょに本作りをしていくベストパートナーを見
つけてください。

第3号 了

引き続き第4号をお読み下さい

「自費出版のお役立ち情報」第4号
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