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自費出版のお役立ち情報 第6号
「自費出版のお役立ち情報」第6号をお届けいたします。
自費出版で注意すること−12
書店での売上金について
前回にも書きましたが、自費出版本は出資された金額分の冊数は、すべて著者の所有物で
す。よって、その本を売ったことにより発生する売上金は、すべて著者のものです。自力で1冊 1冊売られた場合は、その売り上げはすべて著者ご自身のものとなります。
しかし、本の販売を出版社に委託された場合は、書店や取次や出版社の取り分も発生しま
す。それは、ご自身の販売努力を他者に委ねることになりますので、ご了解いただかなければ なりません。ただ、その取り分に関してきちんとご理解されていない場合、いろいろ不満やトラ ブルが発生することになりますので充分にご注意ください。
次に、具体的にお話しをさせていただきます。
例えば、定価1000円の本を出版された場合、著者ご自身でその本を販売されると、1000円の
売り上げすべてがご自身のものとなります。
ところが、それを出版社に委託され書店で販売された場合はどうなるのか?
まず、出版社は前回ご説明した取次に本を卸します。その時に65%から68%の掛け率で卸し
ます。その数値は出版社と取次との間の契約で決まります。
仮に66%の掛け率で卸したとします。その本が、もし書店で売れた場合、出版社には660円の
売上金が、取次より支払われることになります(340円を取次と書店が売上利益として分配しま す)。
この660円が定価1000円の本の売上金です。その売上金に対して、出版社も利益を取得しま
すので、差し引かれた金額が著者に支払われることとなります。
自費出版で注意すること−13
自費出版の印税?
自費出版の本で、著者が出資されて負担された冊数に対しては、そのすべてが著者の所有物
であるので印税は発生いたしません。
しかし、まれに印税が発生する場合もありますので、ご説明させていただきます。
印税とは、出版社が著作権所有者に著作権の対価として支払う報酬のことを言います。その
前提には、1冊の本が出来上がった時に、内容に対する責任の所在とその内容から得る利益 を保証する目的があります。そもそもそれは、企画出版(商業出版)の変遷の中で確立されて きた制度です。出版社は著者が書いた内容で1冊の本という形を作り版権を取得し(=出版社 の所有物となります)、出版社はその本を売ることにより制作費を賄いかつ利益も得ます。そ の過程の中で、内容の所有者である(=著作権所有者である)著者への対価として支払を約 束されたのが印税です。普通、定価の5%から12%が印税として支払われます。
一方、自費出版された本は著者の所有物であり、出版社の所有物ではないので印税が発生し
ないのです。
ただ、次のようなケースには印税が発生します。
著者が200冊の自費出版を希望された時に、出版社が内容を見て市場でも売れるのでは?
と判断し、著者希望冊数の200冊に300冊を上乗せした場合に、その上乗せ分300冊に対 して印税が発生します。また、増刷されてその費用を出版社サイドが負担した場合などにも、 その増刷分に対して印税が発生します。
前半のケースで書店売り上げを考えてみると、著者取得分の200冊はすべて著者のものなの
で、もしそれも書店流通させた場合、売り上げから書店・取次・出版社の取り分を差し引いた 金額が著者に支払われます。一方、上乗せ分の300冊は取次より支払われた売上金はすべ て出版社のものとなり、印税分が著者に支払われます。
今回のお話は少し難しかったですか? でも、自費出版の本を書店流通される場合には重要
なお話なので、じっくり読み返していただきしっかりと把握しておいてください。
第6号 了
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